グリコシド型イソフラボンの種類(ゲニスチン)

ゲニスチンはゲニステインの配糖体

豆腐や納豆など、ほとんどの大豆食品に含まれているイソフラボンは、周りに糖が結合しています。この糖が結合している状態のイソフラボンは、「グリコシド型(配糖体)」として分類されます。

配糖体のイソフラボンが、腸内細菌の働きを受けると、糖の部分が外されて「アグリコン型」と呼ばれる状態になります。このアグリコン型には、「ゲニステイン」「ダイゼイン」「グリシテイン」という3つの種類があります。
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、このゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインという3つのアグリコン型と、それぞれの配糖体である「ゲニスチン」「ダイジン」「グリシチン」で構成されています。

すなわち、大豆などから摂取したゲニスチンは、腸内細菌の働きを受けるとアグリコン型であるゲニステインに代謝されるのです。

ゲニスチンといった配糖体のままでは体内で吸収されない

ゲニスチンに限らずグリコシド型のイソフラボンは、くっついている糖が妨げとなるため、そのままの状態では体内で吸収されません。

摂取したグリコシド型イソフラボンのうち、腸内細菌の働きによってアグリコン型に変換されて吸収されるのは、わずか2割程度だといわれています。
残りの8割は、分解や吸収される時間(6~8時間程)よりも、腸のぜん動運動の方が早く作用してしまうことで、吸収されずに体外へ排出されてしまうのです。

イソフラボンには、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働き(※1)があるといわれていますが、グリコシド型のままだと体内で吸収されず、エストロゲン様作用を発揮することができないのです。
(※1)エストロゲン様作用が発揮されれば、ホルモンバランスの乱れによっておこる更年期障害の症状(イライラやほてり等)が緩和されます。

ゲニスチンがゲニステインになるとどうなるか

強いエストロゲン様作用を発揮できるようになる

ゲニスチンが、腸内細菌の働きによって糖が切り離され、アグリコン型の一つであるゲニステインになれば、体内で吸収されるようになります。
そして、アグリコン型イソフラボンは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと分子構造がよく似ているため、体内にあるエストロゲン受容体(※2)にはまることができます。
(※2)エストロゲンは、エストロゲン受容体という受け皿にはまることで、働くことができます。

ゲニステインは、エストロゲン受容体との親和性が高いため、他のアグリコン型と比べるとエストロゲン様作用が強いです。エストロゲン様作用がうまく働けば、ホルモンバランスの乱れによって起こる更年期障害や自律神経失調症の症状が緩和されます。
しかし、ゲニステインの場合は、エストロゲン様作用が強力な分、人によっては副作用を引き起こしてしまう恐れがあります。

大腸がんの発生の予防に役立つ可能性がある

米イリノイ大学の研究結果によると、大豆に含まれるゲニステインは大腸がんの発生を予防すると考えられています。

大腸がんの発生には、「Wnt」と呼ばれるタンパク質が絡んでいます。
このWntは、複数の細胞ネットワークを通じて、細胞の発生や分化を制御し、動物の胎生期から老化までをコントロールしているのです。
しかし、Wntネットワークが何らかの異常によって暴走すると、がんや糖尿病、統合失調症などの疾患の発症リスクになる恐れがあります。

米イリノイ大学の研究により、ゲニステインでこのようなWntの異常をリセットできる可能性があることが示唆されました。
ただこれはあくまでも、ゲニステインが大腸がんを予防する可能性があることが示唆された段階ですので、ゲニステインが必ず大腸がんを防ぐことができるとはいえません。
ですから、大腸がんの予防を目的として、ゲニステインといったイソフラボンが含まれるサプリメントを安易に摂取することは控えましょう。