イソフラボンはアルツハイマーの予防に役立つのか

アルツハイマー予防に期待できるイソフラボンの2つの働きとは

アルツハイマー型認知症という脳疾患になると、思考能力や記憶力などが徐々に障害されていき、日常生活に必要な作業を行うことも難しくなってしまいます。

このアルツハイマーを防ぐために必要なホルモンは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンです。実際に、エストロゲンの投与によって、アルツハイマー病の進行を遅らせた症例が報告されています。
大豆などに含まれているイソフラボンには、このエストロゲンと似た働き(エストロゲン様作用)があります。

また、アルツハイマーは、酸化力が強い「活性酸素」の影響を受けて引き起こされる場合もあります。イソフラボンは、この活性酸素を除去する働き(抗酸化作用)ももっているので、脳の健康を維持するためには、普段から積極的に摂取することをおすすめします。

女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きが脳の神経物質の減少を防ぐ

エストロゲンの減少がアルツハイマーのリスクを高める理由とは

アルツハイマーは神経物質の働きの低下が関係している

アルツハイマー型認知症の原因の一つとして、脳内で情報を伝達する役割をもつ「アセチルコリン」の働きの低下が考えられます。
このアセチルコリンは脳内のアセチルコリン神経細胞でつくられ、記憶をつくる上で最も重要な脳の海馬などに送られます。アセチルコリンを送られた神経細胞(※1)は興奮して、その結果また新しい神経細胞がつくられるのです。

(※1)神経細胞とは、神経系を構成する細胞で、情報処理と伝達を担っています。

エストロゲンが減少すると神経物質の濃度が低くなる

このアセチルコリンの濃度を高めてくれるホルモンが、エストロゲンです。エストロゲンが、アセチルコリン神経細胞がもっている受け皿(エストロゲン受容体(※2))と結合することで、アセチルコリンの分泌が増えるのです。

しかし、女性は更年期に入ると卵巣の機能が低下して、エストロゲンの分泌量が減っていってしまいます。エストロゲンが欠乏してしまうと、アセチルコリンの濃度を高めることができず、脳の病的老化に繋がってしまうのではないかと考えられています。

(※2)エストロゲンは分泌された後、目的の細胞内の受容体と結合することで、はじめてエストロゲンとして働きます。

エストロゲンが減少するとアルツハイマーの原因物質が増える

また、エストロゲンが減少すると、アルツハイマーの原因物質といわれる「アミロイドβ」というタンパク質を分解する酵素の働きが弱まってしまうのです。
このアミロイドβが脳内に増えると、神経細胞が死んでしまい、脳の萎縮に繋がります。脳の萎縮は、海馬から始まって徐々に脳全体に広がります。

エストロゲンと似た働きが神経物質の分泌をサポートする

イソフラボンを摂取することで、加齢に伴って減少してしまったエストロゲンと、似た働きを得ることができます。

摂取したイソフラボンのエストロゲン様作用によって、アセチルコリンの分泌を増やすことができれば、海馬で新しい神経細胞が作られ、認知機能を高めることに期待できるのです。
また、エストロゲン様作用で、アミロイドβを分解する酵素の働きを維持することができれば、アミロイドβが脳内にたまるのを防ぐことができます。

イソフラボンが酸化力が強い酸素から脳を守る

酸化力が強い酸素によってアルツハイマーが起こるメカニズム

アルツハイマーの発症には、酸化力が強い「活性酸素」が関与している場合があります。
この活性酸素は、本来細菌などを退治する役割を果たしてくれる頼もしい存在です。しかし、ストレスや喫煙などの影響を受けると増加して、問題がない細胞なども酸化させてしまうのです。

脂質が異常に酸化されると、「リボフスチン」という物質ができます。このリボフスチンが、脳の中に多く出現すると、アルツハイマー特有の線維である「アミロイド線維」が増えてしまいます。
そして、アミロイド線維が脳に蓄積されると、アルツハイマーの発症にも繋がってしまう恐れがあるのです。

また、アミロイドβは、活性酸素をつくり出して神経細胞を攻撃します。その結果、神経細胞が死んでしまい、アルツハイマーのリスクが高まります。

イソフラボンが酸化力が強い酸素を除去する

イソフラボンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があります。
イソフラボンは、自ら身代わりに酸化されることで、他の細胞や脂質を活性酸素から守り、体への影響を抑えてくれるのです。

脂質の酸化を抑えて、アミロイド線維の増加を防ぐことができれば、アルツハイマーのリスクを下げることができます。
また、抗酸化作用によって、アミロイドβが産生した活性酸素を減らすことができれば、脳の神経細胞を活性酸素の攻撃から守ることができ、アルツハイマーの可能性を減らせます。

イソフラボンの摂取でアルツハイマーを必ず防げるわけではない

これまでご紹介したように、イソフラボンがもつ働きは、アルツハイマーの発症リスクの軽減に期待できます。しかし、イソフラボンを摂取すれば、必ずアルツハイマーを予防することができるというわけではありません。
ですから、過度に期待をするのではなく、あくまでも健康維持のサポートとして取り入れると良いでしょう。